第1話 原田進氏(左官)

 

 

◎丁稚を終え、職人になった頃を振り返って

 

あの頃は、面白くて苦しい時代やったね。

さっぱり光らない時代。

考えてみると、 隣の職人さんとばかり勝負してた。

いい壁とは勝負していなかったんやね。

 

 

◎左官職人であるとはどういうことでしょうか

 

きれいに早く塗れるってことよ。

 

 

◎我が道が見えたのはどんなときですか?

 

建物ってね、壊すとよくわかるんよ、壊れた土片を触るとね。

この仕事で、やっぱり左官は土や!  ち、思うたね。

 (大分県湯布院にある旧日野医院・国指定重要文化財の解体修復作業時)

 

 

◎仕事のヒントを教えてください

 

職人は技術が伴なわんといかんけど、センスもついてこないと。

例えば、三和土に石をまくという仕事の時、どうまけばいいか。

自然を見ていればわかるはず。

野の小道がどのように存在するか、それに近づくようにまけばいいんです。

答えはす べて自然の中にありますよ。 

 

 

夢はなんですか?

 

土は可能性を秘めとる。

もしかしたら、世界を救えるかもしれん!

その可能性をとことん追求して、途中で切れたら、生まれ変わってまた次の時代で続きをやりたいね。

 

 

原田進(原田左研 親方/大分県日田市)

 

雑誌『手の間』1号特集

「土と生きる 壁を創る左官職人 原田進の仕事」より

2005年11月~2006年5月 取材インタビュー 

撮影/志賀智